AI技術が賃貸市場に与える影響とは?〜RealPage社のソフトウェアの仕組みと問題点〜

AIで家賃を値上げ操作アメリカ

こんにちは。シリコンバレー不動産です。
先日、サンノゼがAIを利用した家賃操作技術の禁止を検討中というブログを書きました。本日はRealPage社のソフトウェアの仕組みと問題点について詳しく説明をしたいと思います。

アメリカでの賃貸物件探しは、日本とは異なる独特のプロセスがあります。その中で、最近注目を集めているのがAI技術を使った家賃設定ツールです。中でもRealPage社のソフトウェアは、賃貸市場に大きな影響を与えているとして、ニュースや政府の調査対象になっています。

RealPage社のソフトウェアとは?

RealPage社のソフトウェアは、賃貸物件の家賃を「最適化」するためのツールです。このツールは、不動産会社が所有する物件(特に大手の不動産管理会社や集合住宅の運営を行う企業)の収益を最大化するために以下のような機能を提供しています。

市場データの活用:近隣の賃貸物件の家賃、空室率、需要などをリアルタイムで収集。
AIによる家賃設定:収集したデータをもとに、借り手が納得しやすいが高収益を狙える家賃を提案。
データの共有:同じソフトウェアを使う複数の不動産会社間で賃貸データを共有し、地域全体で一貫した家賃水準を設定。

 

AI家賃設定がもたらすメリットと問題点

この技術には、不動産オーナーにとっての利便性や収益性向上という利点がある一方で、以下のような問題点が指摘されています:

  1. 家賃の高騰
    RealPage社のソフトウェアを利用することで、家賃が10%以上上昇するケースが多く見られます。近隣の物件が値上がりすれば、それに追随して自動的に家賃が引き上げられる仕組みが、大きな負担となっています。
  2. 市場の競争抑制
    複数のアパート所有会社が同じソフトウェアを使うため、家賃が競争によって下がりにくくなると批判されています。これは、借り手にとって選択肢が限られる状況を作り出します。
  3. 借り手への圧力
    特に長期入居者に対し、賃料を「市場価格」に近づけるための値上げや、退去を促すような行動が増えていると報告されています。

RealPageは集合住宅市場で特に影響力が大きく、米国内の集合住宅ユニットの60%近くを管理しているとされています。このため、彼らの技術が家賃市場全体に大きな影響を与えていると批判されています。

日本人駐在員が知っておくべきこと

アメリカの賃貸市場では、家賃が日本に比べて非常に変動しやすく、短期間で大幅に値上がりすることも珍しくありません。RealPage社のソフトウェアのようなツールが影響を与える中で、日本人駐在員が知っておくべきことを以下にまとめました。

  1. 家賃交渉が難しくなる
    AI技術に基づいて設定された家賃は、不動産会社が「市場価格」として提示するため、交渉の余地が限られる可能性があります。
  2. 信頼できるエージェントの利用
    現地の賃貸事情に詳しいエージェントに相談することで、不公平な家賃設定を避けられる可能性があります。

 サンフランシスコとサンノゼの動向

こうしたAI技術による問題を受け、サンフランシスコ市では2024年にRealPage社のソフトウェア使用を禁止する条例を可決しました。現在、サンノゼ市も同様の禁止措置を検討しています。

まとめ

AI技術の進化は、アメリカの賃貸市場に多くの変化をもたらしています。しかし、その技術が必ずしも借り手に有利に働くわけではありません。アメリカでの住宅探しの際には、こうした市場の背景を理解し、慎重に物件を選ぶことが重要です。

シリコンバレー、ベイエリアでの賃貸物件選びについて詳しく知りたい方、ぜひお気軽にご相談ください!