「内見したのに詐欺だった」!?シリコンバレーで注意したいRental Scam
「この物件、今日中にDepositを払えば押さえられます」
良い物件が見つかった。
家賃も予算内。立地も理想的。写真もきれい。
でも、人気物件だから迷っている暇はありません。
「他にもApplicantsがいます」
「今日中にDepositを払えば、この物件を押さえられます」
――そう言われたら、どうしますか?
現在、ベイエリアでは賃貸市場の競争が非常に激しくなっています。
前回の記事でも紹介したように、San Franciscoでは、募集家賃より高い金額を提示して物件を確保しようとする借り手まで出ています。
そして、そんな「早く物件を押さえたい」という借り手の焦りを狙ったRental Scam(賃貸詐欺)にも注意が必要です。
今回は、2026年8月にSan Franciscoで実際に起きた、$18,600をだまし取られたケースを紹介しながら、今のベイエリアで注意したいRental Scamについて解説します。
「本物の物件」だったのに、$18,600を失った
まず、今回ぜひ知っていただきたい実際のケースがあります。
2026年8月、San Francisco StandardやSan Francisco Chronicleなどが、San Franciscoで起きた非常に巧妙なRental Scamを報じました。
被害に遭ったのは、San Franciscoに住む28歳の男性。
家賃の値上げをきっかけに新しいアパートを探していたところ、Zillowで2ベッドルームの物件を見つけました。
家賃は月$6,200。
市場価格から大きく外れた「安すぎる物件」ではありませんでした。
つまり、
「あまりに安いから怪しい」
という、よくあるRental Scamではなかったのです。
ZillowにもCraigslistにも、同じ物件が掲載されていた
男性はZillowで物件を見つけた後、同じ物件がCraigslistにも掲載されていることに気づきました。
写真も説明も同じ。
「同じ大家さんが両方に掲載しているのだろう」
と思うのは自然なことです。
ところが、ここに罠がありました。
ZillowのListingは本物。
CraigslistのListingは偽物。
詐欺師は、本物のZillowのListingをコピーしてCraigslistに掲載していたのです。
しかも、実際にアパートを見ることができた
ここが、この事件の怖いところです。
男性はCraigslistを通じて「大家」と名乗る人物と連絡を取り、Open Houseに参加しました。
そして、実際にアパートの中を見ることができました。
部屋も本物。住所も本物。写真も本物。
しかもOpen Houseには、他にも複数の入居希望者が来ていました。
「ちゃんと内見できた」
「他にもApplicantsがいる」
「自分も早く申し込まないと取られてしまう」
――そう思ってしまっても不思議ではありません。
しかし、男性がその後やり取りしていた「大家」は、実際の物件所有者ではありませんでした。
本物の物件を使って、別人が大家になりすましていたのです。
そして、$18,600を送金
Open Houseの後、男性はCraigslist経由で連絡を取っていた人物とApplicationを進めました。
Applicationが承認され、Leaseも送られてきました。
さらに、
- 入居日
- Utilities
- Internet
- Mailbox
- Cleaning
- 鍵の受け渡し
などについても何度も連絡がありました。
つまり、お金を払うまでのやり取りが非常に自然だったのです。
そして男性は、
$18,600
をWire Transferしました。
ところが、Move-inの日になっても「大家」は現れません。
電話にもでず、Textにも返信がなし。Emailにも返事がない。
そこで初めて、男性は元のZillow Listingの連絡先に確認しました。
すると、実際のProperty Managerは、
Craigslistには掲載していないし、その人物とはやり取りしていない。
また、お金も受け取っていない。
と説明しました。
つまり、
アパートは本物。Open Houseも本物。でも、契約を進めていた相手が偽物。そして、$18,600は詐欺師に送られていたのです。
これまでの「Rental Scam」と何が違う?
昔からあるRental Scamには、比較的分かりやすい特徴がありました。
例えば、
- 「大家は海外にいるので内見できません」
- 「先にDepositを送ってください」
- 「相場よりかなり安い家賃です」
- 「今日中に送金しないと他の人に決まります」
といった内見なしでDepositを送るパターンです。
ところが今回のSan Franciscoのケースは、もっと巧妙です。
実際に物件を見ることができる。
↓
Applicationを進める。
↓
Leaseを送る。
↓
入居直前まで普通に連絡する。
↓
DepositやRentを送金させる。
↓
突然、連絡が取れなくなる。
「早く押さえたい」という気持ちが、詐欺師に利用される
今のベイエリアの賃貸市場では、良い物件が出ると、
「迷っている間に他の人に取られるかもしれない」
という焦りが生まれます。
前回の記事で紹介したように、人気物件では募集家賃を超える金額を提示してでも借りたい人がいるほど、競争が激しくなっています。
そして、この状況は詐欺師にとっても好都合です。
「他の人に取られる前にDepositを払わなければ」
と思わせる。
その結果、
「確認する前に送金してしまう」ということが起きます。
FTCにも約65,000件のRental Scamが報告
これはSan Franciscoだけの問題ではありません。
米国Federal Trade Commission(FTC)は2025年12月、Rental Scamについて注意喚起を発表しました。
FTCによると、2020年から2025年6月までに、約65,000件のRental Scamが報告され、報告された損失額は約$65 millionに達しています。そしてFTCは、実際の被害はこれより大きい可能性があるとしています。
詐欺師は「本物の物件」をコピーする
FTCが注意を呼びかけている典型的な手口の一つが、
Real Listingのコピー
です。
実際の大家やProperty Managerが掲載している、
- 写真
- 物件説明
- 家賃
- 住所
- 間取り
などをコピー。
そして、そこに詐欺師自身のEmailや電話番号を入れて、別のサイトに掲載します。
「Zillowに載っているから大丈夫」ではありません
ここは、ぜひ覚えておいてください。
Zillowなどの大手サイトに掲載されていることだけを理由に、100%安全とは判断できません。
今回のSan Franciscoの事件でも、本物のZillow Listingと偽のCraigslist Listingが同じ物件を使っていました。
重要なのは、
「どのサイトに載っているか」だけではなく、「誰と取引しているのか」
です。
では、どうやって「本当の大家さん」なのか確認する?
ここは、日本から赴任される方には特に知っておいていただきたいポイントです。
一般の方がZillowやCraigslistのListingだけを見ていると、
「この物件を本当に誰が貸しているのか?」
を確認するのが難しい場合があります。
一方、現地の不動産業者であれば、MLS(Multiple Listing Service)などの業者向け情報や、Countyなどの公的なProperty Record、Property Management Companyなどの情報を利用して、
- Listing Agent
- Broker
- Property Management Company
- Property Ownerに関する情報
などを確認できる場合があります。
ただし、MLSが必ずしもOwnerの氏名を掲載しているわけではありません。
そのため、MLSだけを見るのではなく、複数の情報を照合することが重要です。
例えば、
MLSのListing情報 + Property Management + Company CountyのProperty Record+Leaseに記載されたLandlord情報
などを確認することで、
「実際にこの物件を貸す権限がある相手なのか?」
をより慎重に確認できます。
これは、現地の不動産会社を通して物件を探すメリットの一つでもあります。
もちろん、どんな方法でも詐欺を100%防げるわけではありません。
だからこそ、大きなお金を送る前に複数の情報を確認することが大切なのです。
SSNやDriver's Licenseの情報にも注意
Rental Scamの怖さは、お金だけではありません。
詐欺師が狙うのは、
- Social Security Number
- Driver's License
- Pay Stub
- Credit information
- Bank information
などの個人情報である場合もあります。
FTCも、偽のRental Listingを利用してSSNやDriver's License、Pay Stubなどを集め、Identity Theftにつなげる手口について注意を呼びかけています。内覧をするために、上記の情報を送るように要求された時も、断るようにしてください。
まとめ|競争が激しい今だからこそ「誰と契約するか」を確認する
ベイエリアの賃貸市場では、良い物件をめぐる競争が激しくなっています。
「早く申し込まなければ」
「他の人に取られたくない」
という気持ちは当然です。
しかし、その焦りこそがRental Scamに利用される可能性があります。
今回のSan Franciscoのケースでは、被害者は実際に物件を見て、Applicationを行い、Leaseまで締結した上で、$18,600を送金してしまいました。
そして何より怖いのは、物件そのものは本物で、内覧もできたということです。
「誰がこの物件を貸しているのか?」
「その人は本当にこの物件を貸す権限を持っているのか?」
をぜひ確認してください。
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