賃貸なのに「家賃を入札」する時代に!?|シリコンバレーで始まった異例の賃貸競争、Zillowの表示価格だけでは分からない現実

シリコンバレーの賃貸市場で家賃のオーバービッドが発生し、Zillowの表示価格より高い金額で物件を借りる競争が起きているイメージ

「この一軒家、Zillowでは月$4,500ですよ」

そう思って申し込んだら、$4,500では借りられなかった。

「$4,800払います」

「3か月分を前払いします」

――そんな動きが、今、シリコンバレー周辺を含むベイエリアの賃貸市場で注目されています。

「家賃って、大家さんが決めた金額を払うものじゃないの?」

日本から赴任される方なら、そう思われるのではないでしょうか。

ところが2026年夏、San Franciscoでは、人気の賃貸物件をめぐって、募集家賃より高い金額を提示する“オーバービッド”が実際に起きています。

今回は、この異例の賃貸競争がなぜ起きているのか、そして「Zillowに表示されている家賃だけを見ていては、今の市場を読み切れない」理由について解説します。

「賃貸なのに入札!?」いったい何が起きている?

2026年7月、San Francisco Chronicleは、AIブームによって住宅需要が急増しているSan Franciscoで、1つの賃貸物件に非常に多くの応募が集まり、借り手同士の競争が激しくなっている状況を報じました。

人気物件には数百件単位の応募が集まるケースもあります。

そして、競争に勝つために、募集されている家賃以上の金額を提示する人も出ています。

さらにAxiosも、San Franciscoの人気エリアでは、募集家賃より10~20%高い金額で決まるケースがあると報じています。

ただし、不動産の専門家は「すべての物件で入札する必要があるわけではない」とも指摘しています。競争が激しい物件かどうかを見極めることが重要です。

つまり、

「家賃はいくらですか?」

だけではなく、

「その家賃で、実際に借りられる可能性はどのくらいあるのか?」

ということまで考えなければならない市場になってきています。

「$4,500」と書いてあるのに、$4,500では決まらない?

ここが、今回の賃貸市場の変化で最も重要なポイントです。

例えば、Zillowにこのような物件が掲載されていたとします。

Rent: $4,500/month

普通なら、

「予算$4,500だから、この物件に申し込もう」

と考えますよね。

ところが、同じ物件を見ている人が、

「$4,700払います」

「$4,800でもいいです」

と申し込んだ場合、大家さんにとっては、より高い条件を提示した応募者が魅力的になる可能性があります。

つまり、

Zillowに表示されている$4,500は「契約価格」ではなく、「募集価格(asking rent)」になりつつあります。。。。賃貸市場で言ったらある意味、異常事態です。

 

実際の「成約家賃」が見えにくいという問題

例えば、

  • Zillow掲載:$4,500
  • 実際の契約:$4,800

だったとしましょう。

市場に公開されている募集情報には「$4,500」と出ます。

しかし、実際に借りることができた人は$4,800を払っている。

このようなケースが増えると、

「市場に出ている家賃」と「実際に競争して勝ち取った家賃」の間に差が生まれる

ことになります。

これが、今の賃貸市場を見るうえで非常にやっかいなところです。

ニュースで報じられているSan Franciscoの例では、募集家賃より数百ドル、場合によっては$1,000以上高く提示するケースも紹介されています。Wall Street Journalも、AI関連の高所得者の流入と住宅不足によって、募集家賃を大きく上回る金額を提示する借り手が出ていると報じています。

つまり、

「平均家賃はいくら?」

という統計をとることが難しくなってきています。

なぜ、ここまで競争が激しくなったのでしょうか?

大きな理由の一つが、もちろんAIブームです。

San FranciscoではAI関連企業による採用が活発になり、高所得のテックワーカーが流入。

一方で、住宅の供給は需要に追いついていません。

Wall Street Journalによると、San Franciscoの平均asking rentは過去2年弱で18%上昇し、空室率はわずか3.7%まで低下しています。

さらに、その住宅不足の影響はSan Franciscoだけにとどまらず、OaklandやSan Jose、シリコンバレーにも波及しています。

「AI企業が増える」

「働く人が増える」

「住宅を探す人が増える」

「でも住宅はすぐには増えない」

「限られた物件をめぐって競争になる」

という構図です。

シリコンバレーも「他人事」ではありません

「でも、それはSan Franciscoの話でしょう?」

と思われるかもしれません。

確かに、現在特に激しいのはSan Franciscoです。

しかし、San Jose、シリコンバレー・ベイエリアもすでにかなり厳しい状況になっています。

Zillowの2026年6月データでは、San Joseのasking rentは前年より6.2%上昇しています。

また、弊社でも今年は競争に勝つのが厳しいことを実感しております。何度も申し込んで承認されなかったお客様の場合、家賃補助額より少し低い物件を見つけて、「数百ドル多く払う」と交渉して、やっと競争に勝てたお客様もいらっしゃいました。

つまり、シリコンバレーでも、

「良い物件なら、出てくるのを待っている間に他の人に取られる」

という状況が起きています。

特に、

  • Palo Alto
  • Foster City
  • San Mateo
  • Mountain View
  • Sunnyvale
  • Santa Clara
  • Cupertino
  • San Joseの人気エリア

などでは、勤務地・学校・通勤時間などの良い条件が重なる地域では非常に競争が激しくなっています。

「家賃が高い」だけではない。怖いのは“スピード”

現在の市場で重要なのは、単純に家賃が高いことだけではありません。

良い物件が出てから、なくなるまでが非常に早い。

これが大きな問題です。

例えば、

「来週見に行こう」

「家族と相談してから申し込もう」

「他の物件も見てから決めよう」

としている間に、すでにApplicationが複数入っていることがあります。

日本の感覚でいう、「何件か見て、一番良いところを選ぶ」という探し方が難しくなるケースがあるのです。

まとめ:「家賃」だけを見ていては、今の市場は分からない状況になってきている

2026年のベイエリア賃貸市場では、単純な「家賃上昇」だけでは説明できない変化が起きています。

募集家賃より高く払ってでも、良い物件を確保したい。

そんな借り手が現れ、人気物件では競争が激化しています。

「Zillowに書いてある家賃はいくら?」だけではなく、

「その物件は、今どれくらい競争があるのか?」

「自分の予算で、実際に借りられる可能性があるのか?」を見ることをおすすめします。 

競争が激しくなると、もう一つ怖い問題が出てきます。

それが、Rental Scam(賃貸詐欺)です。

「とにかく早く良い物件を押さえたい」

「他の人に取られる前にDepositを払いたい」という心理を、詐欺師は利用します。次回はそれについて詳しく説明をしたいと思います。

シリコンバレーでの住まい探し、ご相談ください

日本からの赴任で初めてシリコンバレーの賃貸市場を探す場合、オンラインのListingだけでは分からないことも少なくありません。

現在の市場状況を踏まえて、ご予算・勤務地・通勤・入居時期などの条件から、実際に借りられる可能性のある物件を探すことが大切です。

シリコンバレーへの赴任が決まった方、これから住まい探しを始める方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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